英国のカントリーサイドめぐり

イングリッシュ・ガーデン English Garden

ヒースロー空港から地下鉄に乗り、友人が住むケンブリッジへ真っ直ぐ行った。

友人宅に着くと早速、明日からの予定をきめることとなった。事前に手紙で予定を連絡しておいたので、友人は休暇を合わせてくれていた。

「明日は、近くのガーデンに行きましょう。3月は、花の数は少ないけれどウィンター・ガーデンが見ごろなのよ。

次の日は、ウォーキングにしましょう。

3日目は、ここから少し離れた所に素適な村があるの、そこで散策を兼ねてティールームでランチでもいかがですか。それから・・・」

以前、6月のガーデンに行ったことがあった。

ノーホーク地方に旅行に行ったときに、通称「イエローブック」と呼ばれている「ガーデンズ・オブ・イングランド&ウェールズ」という本に紹介されていた一般公開されている個人のガーデンを訪れた。

地主が所有しているそのガーデンは、2人の専属のガーデナーによって手入れされていた。

1900年代初めに建てられた家とガーデンがあった。現在、その家に人は住んでおらず、家の中まで見ることができた。

そのころ使われていた家具や食器類などが、その当時のまま並べられていたが、個人が管理していることもあり、保存状態はいいとは言えなかった。

ところどころに埃がかぶっており、置いてある品々も劣化が激しいようにも見えた。

家の中を通り抜け、ガーデンに出た。そこは、ガーデナーによって管理されているだけあって、いろいろな色の花がセンスよく組み合わされているイギリスらしいガーデンだった。

花壇を作り、きちんと仕切りをしているタイプのものではなく、自然に咲いているようにデザインされたものだった。

6月は、ガーデンの見ごろでもあり、まさに花が燃え上がるように咲き乱れていた。

家からガーデンに出るとすぐ目の前には大きな池があり、池のまわりには青や白色の水辺の花が咲いている。池を一周しながら花や草木を見て歩いた。強い日差しと池からの照り返しで、立っているだけで汗ばむほどの陽気だった。

池の周りを歩いている途中、池越しに家を見た。

薔薇の蔓が家全体を覆い隠すように繁茂している。

故意にそのように栽培しているのだろう、蔓が縦横無尽に伸びている。

近くによってみると薔薇の花が咲いている。

蔓と葉、棘が勢いよく、うねりを巻いて伸びている。

その深緑の中に点々と映える薔薇の姿は華美であり、花弁が発する甘く誘う色香に陶酔させられた。

家の横には小川が流れている。

小川に沿うように木々が植えられており、木陰の中を散歩した。小川では小鳥たちが、涼しげに水浴びをしてはしゃいでいた。

初めてイングリッシュ・ガーデンを訪れ、その美しさを目の当たりにしたのであった。


ケンブリッジに話は戻る。

翌朝、友人の家から車で二十分くらいの場所にあるボタニック・ガーデンに行った。

3月といえどもまだ肌寒く、コートを着て出かけた。

ガーデンの門を抜けるとクロッカスの花が一面に咲き広がっていた。地面に顔を出している虫の幼虫を口ばしでついばんでいるブラックバードがツンツンと首を縦に振っているのが見えた。

ガーデンは、ベジタブル・ガーデンやロックガーデンなどいくつかのゾーンに分けられていた。

この時期のガーデンは、咲いている花は少なく、ほとんどの花は蕾か、若しくは、茎と葉だけの状態だった。

友人は、園内をゆっくりと歩き、ひとつの花壇で立ち止まった。そして、花壇に植えてあるひとつひとつの植物を丁寧に見て回った。友人は、覚えのある蕾や葉の形状を見つけると、その花の名前と色、においを教えてくれた。そして、私がイメージできるように簡単な英単語を使い、身振りを交えながら伝えてくれた。

友人は、ガーデナーの仕事をしているので、植物について詳しかった。しかし私は花の咲いていない時期にガーデンに行くことに疑問を持っていた。見たことのない花の蕾から咲いた姿をイメージできるほど想像力が豊かではない。それで友人の説明に曖昧な返事になっていた。

友人もすぐにすべてを分からせようと執拗に説明を繰り返すことはなかった。

この植物は、小さな青い花が咲くと知ってもらうことだけで良いと承知している様子だった。

友人は、花の根元に挿されている学名が書かれたタグをときどき確認している。そして、1つの花壇にあるすべての植物をひと通り見終わったとき、友人が一歩引いて花壇を見回すように言った。

私は言われるがままに視線を上げて全体を見回した。
花壇全体のデザインをイメージしたのは、その時だった。
つい先ほど教えてもらった花の色や大きさを確かめるように聞いていた。
友人は嬉しそうに答えてくれた。


この季節のメインである「ウィンター・ガーデン」のゾーンに入った時にイメージトレーニングでやわらかくした脳に色彩が一気に入ってきた。思わず立ち止まり、光に映える植物の美しい色一つ一つではなく、ガーデンが表現しているものを見ようとしていた。


「ウィンター・ガーデンは春先までが見ごろなの。ガーデンは、一年を通して楽しめるでしょう。花が咲いていない所も多いけれどそれは今の季節ならでは」

すみずみまで手入れされているウィンター・ガーデンには、赤や黄色に染まった草木の色が調和よく並んでいた。

色合いとともに草木の高さまでもきちんと整えられていた。

四角や三角に整えているのではなく、自然な風景がそこにあるかのように。

ウィンター・ガーデンを離れ、再び歩き始めた。

別の花壇に差し掛かったとき、そこで作業しているガーデナーがいた。友人は、何か聞きたいことがあったらしく、あいさつを交わすとすぐに気になっていたことを話し始めていた。土壌のことらしかったが詳しくは分からなかった。


自分自身が美しいと感じたり、心が安らいだりする場所は、いつ来ても良いものである。季節ごとに変わるガーデンの姿を楽しむことができる。たとえ冬で何も無いように見えたとしても、視点を変えることで興味深いものになり得る。

友人は、そこにあるものの状態や状況を率直に受け入れる価値観を持っている。身近な自然と付き合うライフスタイルを持っているのだろう。そんなことをぼんやりと思いながら友人がガーデナーと話しをしているのを横で聞いていた。

すぐ足もとを流れる小さな小川のほとりでは、つぼみを付けたばかりの小さな草花が、春のそよ風に揺れていた。

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